悠閑自在

本屋さんで働きながら8年かけて放送大学を卒業、29年度1学期に再入学しました!

休日出勤でした

1年くらい前だったと思う。
平日の真昼間に一人の小学生の少年がやってきた。
あれ?学校休みなのかな?
最初はその程度だった。
でも、その後もその少年は何度か真昼間にやってきた。
一度見ただけで印象に残る、栗色の坊主頭の少年。
あれ?
私以外の人も疑問に思い始めた頃、職場でご近所のウワサをいち早くキャッチする方が情報を持ってきた。
「あの子、お父さんがアメリカの人なんだって」
「離婚して、お母さんと一緒に帰ってきたらしい」
「学校には行ってないみたい」
「やっぱり見た目が違うから、学校に居づらいのかな」
それで真昼間に来るんだ。
ある日、欲しい本があるので注文して欲しいと話しかけられたのをきっかけに、その少年と言葉を交わすようになった。
少年は本を買いに来るときに、どうして今日本を買えるのか、なぜ本を買いに来たのかなど、理由を話して買って行くようになった。
それをただ「そうなんだー、ありがとうね。でも漫画ばっかり買ってたらダメだよ。勉強道具も買いなよ」なんて言いながら聞いてた。
以前、職場の人が持ってきた情報で
「虚言癖みたいなのがあるみたい」
というのは、全然気にならなかった。
一生懸命話してくれるから聞きたかった。
それだけ。
去年の暮れか今年の初め頃「お父さんが来てる」と嬉しそうに話してくれた。
それより前に「お父さんはアメリカにいる」と教えてくれていたので、「アメリカから来てくれたの?」と尋ねたら「今、東京にいるんだって」と教えてくれた。
その日はずっとお父さんのことを楽しそうに話してくれた。
離れ離れになっても、彼にとってはたった一人のお父さんなのだ。
大好きなお父さんなのだ。


そして、ふと気づいたら真昼間に少年は来なくなった。
学校に行ってるのかな、行ってて欲しいな。


今日の夕方、少年がやってきた。
「あ、○○○君、いらっしゃい」と声をかけたら、栗色の坊主頭をなでながらニコッと笑った。
そして大好きな漫画の本を買ってくれた。
少年は見た目は外人なのだが、名前が純日本風で、そのギャップが楽しくて、ずっと下の名前で呼んでいる。
「夏休み、いつまでだっけ?」
「明日です・・・でも宿題全部終わったから余裕(*^^)v」
昨晩は自由研究を仕上げていたそうだ。
その中身を、最初から順を追って話してくれた。
「すごいね、頑張ったね。じゃ、学校始まったら、胸張って堂々と持って行けるじゃない!」
と言ったら、笑顔で「うん!」と答えてくれた。
その笑顔を見て、「うん!」を聞いて、ホッとした。
今、5年生。
今はゲームと漫画の話が多いけど、中学生になったらどんな話になるのかな。
高校生になっても、ウチに寄ってくれるかな。
いつでもおいで。
相手になるよ(^_^)